PACE Trialの致命的な欠陥


12の米患者団体、77名の医師・研究者等が、致命的な欠陥があるとして、第三者によるレビューのためローデータの提出等を求めているPACE Trial論文とはどういうものなのか。

PACE Trialとは、イギリスの精神科医等が政府から5百万ポンド(約8.2億円)の研究費によりなされた大規模な治験であり、適応ペーシング(APT)・認知行動療法(CBT)・段階的行動療法(GET)・専門医による治療(SMC)の4つの治療法の効果を調べ、認知行動療法・段階的行動療法を受けた患者が優位に症状が改善したという結果が、2011年にランセット誌(精神医学)”Rehabilitative treatments for chronic fatigue syndrome: long-term follow-up from the PACE trial”と題し掲載された。

その結果、メディアでは「ポジティブシンキングと運動の恐れを取り除くことで回復する」「疲れている患者は、外に出て運動することが最善の回復方法」「精神療法が慢性疲労症候群を改善」等と報道がなされた。さらに、各国の治療ガイドの中に認知行動療法・段階的行動療法が有効な治療の中に含まれることとなった。

当初より患者団体などから批判されていたが、昨年、公共衛生ジャーナリストのDavid Tuller氏が、Virology Blogに、‘TRIAL BY ERROR: The Troubling Case of the PACE Chronic Fatigue Syndrome Study’と題する記事で、PACE Trialの致命的な7つの欠陥をを掲載したことにより、批判が加速した。欠陥のいくつかは以下のようなもの。

  • 回復したとする基準の変更 SF-36という健康関連のQOLを測定する尺度をPACE Trialでも採用されていたが、途中で回復基準を広げ、慢性疲労症候群患者のままでも回復したと分類された。実際、13名の被験者は、治験の最初から回復していると分類されている。
  • 治験の途中で、被験者に段階的行動療法と認知行動療法が功を奏しており、イギリス政府から推奨されており、現段階で受けられる最良の治療だというニュースレターを送っていた。
  • 広範囲な患者になってしまうOxford診断基準を用いており、うつ病が一次的な患者も含まれていた。

英患者団体はME Associationは、段階的行動療法(GET)を受けた後、症状がどうなったかというアンケートを2012年におこなったが、80%が症状が悪化したと返答した。

いまだに、研究者等はローデータを出すことを拒んでいるが、先んじてアメリカ国立衛生研究所(NIH)のサイトには、推薦している治療から、認知行動療法(CBT)・段階的行動療法(GET)は省かれた。

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